窓際のトットちゃん
窓際のトットちゃん。
この本を読んでいる途中、何度も何度も、涙が溢れそうになります。
それは、私の中にある こどもの世界 に、やさしく光があたり、あったかく包まれているような、そんな感じです。
私のなかのこどもの世界。思い出したのは、私の最初の記憶である、だいたい4歳くらいの時のこと。
小児科で検尿をしているとき、思わずうんちが出てしまい、コップを持ってくれていた母の手に、うんちがべちょ!っと着いてしまいました。
私は、わ、まずい!そんなつもりじゃなかったのに、お母さんの手にきたないうんちがついちゃった‥‥とショックを受け、母をみてみると、母は、
「◯◯(私の名前)のうんちだから、きたなくないよ。」
と言いながら、普通に手を拭いていました。
その時、私は、おもわぬ返答に驚いて、そして、胸が締め付けられるほど嬉しくて嬉しくてたまらなくなったのを、はっきりと覚えています。 また、お母さんが本当におおきくて、かっこいい!と思いました。
そして、この魔法の言葉を、私もいつか誰かに言おう、と心に決めたのでした。
そして、8年越し、中学一年生のこと。
友達と話していたとき、その友達のよだれが、私の手にたらーと垂れました。
そのとき、私は、あの、心に決めていたセリフを言うことができたのです。
「◯◯(友達の名前)のだから、きたなくないよ。」
その言葉を言ったあとの何とも言えない満足感。あのときのお母さんみたいに、自分も少し、おおきくてかっこよい人になれた感じがしたのでしょう。
その友達は覚えているかはわからないけれど、私にとって、今になっても忘れられない大切な日になったのでした。